会社設立

税理士の選び方について

法人を設立した場合、ほとんどの場合で税理士と契約することになると思います。そこで今回は企業の経営者様がどのようにして税理士を選んでいるかについて考えたいと思います。
以下のURLにて株式会社ミロク情報サービスが公開している2017年度の会計事務所白書にて、事業主と税理士の関係に関するアンケート結果があります。
https://www.accnt.jp/report/
https://www.accnt.jp/report/2017g.pdf
 
■税理士を選ぶ際の判断基準について
まず現在依頼している税理士の契約のきっかけについては、80%以上が「紹介」との回答でした。
知人や他の士業からの紹介で税理士と契約する事業主が圧倒的に多いことが読み取れます。
紹介以外の場合は、地域の税務相談会やインターネット検索で選定した税理士を選んでいるケースが多いようです。
紹介が圧倒的に多い理由は事業主が税理士を選ぶ際の判断基準(決め手)と大きく関連しているように考えます。なぜかというと同社のアンケートによると税理士の選定の決め手として「丁寧さ」と「人柄」がトップ2になっているからです。親身になって丁寧にサポートしてくれる税理士を求めている中で、知人などから紹介を受ける場合は、すでに知人が税理士を信頼している証でもあるため、契約につながりやすいのだろうというアンケート結果が読み取れます。
 
■税理士への不満・満足している点
次に、選定した税理士と契約を続けていく中での不満についての調査結果を見ると、第2位に「態度・口調」がランクインしています。やはり、契約を継続していく中でも税理士に丁寧さや人柄を求める事業主は多いようです(ビジネスとして丁寧に接したりするのは当然のことかと思いますが、それが実施できていない税理士が一定数いるのが現実のようです)。
 
不満第1位は「アドバイスの不十分」でしたが、逆に税理士と契約してよかったと思う点1位も「有効なアドバイス」でした。この結果から、やはり士業である税理士と顧問契約を結ぶのであれば、専門的な助言・アドバイスを最も期待しているのが事業主の本音ということがわかります。
顧問税理士を選んでいる段階で人柄の良い人を選んでいるので、契約中は人柄よりもアドバイスの有効性が事業主の判断基準になっているということだと思います。
 
■税理士を解約・変更した理由
では、アドバイスが不十分であれば、すぐに別の税理士を探しているのかというとそうではないようです。
税理士の解約経験のある事業主による回答結果では、なんとおよそ半数近くが「コミュケーション」を理由に解約しているようです。
訪問頻度や連絡頻度が極端に少ない場合や、有資格士業ならではの横柄な態度が原因で解約になっているようです。
 
上記をまとめると、世間の事業主は以下の点を重視しているようです
①   税理士を選ぶときは、丁寧さ・人柄を重視(相性が良いこと)するのが大前提
②   契約期間中はいかに有効なアドバイスをもらえるかを重視
③   自社への貢献度(訪問回数・連絡頻度)
 
■税理士事務所目線からの追加の重視点
付け加えて弊社が税理士事務所の立場から考えて、事業主に重視して頂きたい点は以下になります。
①   事業主と税理士の年齢がある程度近いか
②   常に最新の税制をキャッチアップしているか
③   訪問回数などによって価格設定を変えているか。
 
まず、①について丁寧さや人柄を重視するうえで、年齢の近さは重要かと考えます。IT化に対する感覚を含め、ビジネスや世の情勢に対する感覚が近ければ、相性のいい関係が築ける可能性が上がるかと考えるからです。
 
次に②について、事業主が求めているアドバイスは、常に最新の税制に沿って行われるべきであると思います。税制改正があった際に事業主にとって有利な改正なのか、不利な改正なのか、新たなビジネスを後押しするような改正なのかを踏まえたうえで、税制改正の内容を簡単にでも事業主に伝えてくれる税理士であれば、おのずと有効なアドバイスも増えるかと考えます。
 
最後に③について、訪問回数や連絡頻度の少なさで解約になっているケースがアンケート結果から見受けられますが、これは「高い顧問料の割に自社に力を注いでくれていない」という不満で解約しているものと推測します。本来、訪問頻度が多くなるなど顧問税理士が自社のために割く時間と顧問料は比例すべきかと考えます。訪問は移動時間も考えると、税理士の時間を想像以上に拘束しているのは事実かと思います。なので、訪問回数などの実質稼働時間と報酬がマッチするように価格設定を行っている税理士事務所であれば、「高い顧問料の割に自社に力を注いでくれていない」という不満には比較的つながりにくいと考えます。

2022/3/14
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電子申告

平成30年度税制改正により、大法人(資本金1億円超の内国法人)について、確定申告等の書面提出が認められず、電子申告が義務化されました。
これに伴い、従来は書面での提出が多かった財務諸表等の添付書類についても電子送信が義務化され、義務化後初年度であった2021/3期申告で苦労された大法人もあるかと存じます。
 
現状は大法人のみに適用されている電子申告義務化ですが、将来、中小法人に適用される可能性もゼロではありません。また、義務化でなくても電子申告自体はメリットのある方法なので、中小法人についても電子申告対応されることをお勧めしたいと思います。
 
・資源の無駄遣いを削減(SDGs)
電子申告を行わない場合、書面提出となりますが、申告書・財務諸表・勘定科目内訳書・法人事業概況書・税務権限代理証書等を印刷し、税務署に郵送して提出することになります。
さらに提出控えを返送してもらう場合には、返送用封筒と申告書(控用)などを同封する必要があります。この場合、国税の申告だけで数十枚以上、会社によっては数百枚の紙を印刷することになります。これが毎年続くとかなりの紙面を使うことになります。また地方税にも書面で郵送を行っている場合には、同様の手続きを地方税でも行い、郵送費等もかかってしまうというデメリットがあります。
ここ数年でSDGs(SustainableDevelopment Goals(持続可能な開発目標))という言葉が注目されており、いかに環境負荷を低減するかというのは大法人に限らず、すべての企業様に課せられているミッションになっております。
この点、電子申告であれば、1枚も紙を使用せずに申告業務を完了することもでき、SDGsの観点からも推奨できるものとなります。
私個人の感想としては、一度慣れてしまえば、電子申告の方が書面郵送よりも圧倒的に楽です。
 
・申告後の確認の簡便さ
郵送により確定申告を行った場合、税務署に到着して受理されているかどうかなどは控え資料の返送等までの間、不明瞭になってしまいます。
一方で電子申告であれば、即時(数分以内)で、申告完了の連絡メールを受理でき、エラーがある際にはその旨がわかります。また、24時間いつでも申告が可能なので、夜まで申告書作成準備を行っていたとしても、そのまま当日の申告書提出が可能な点もメリットとなります。
 
・保管スペースが不要
書面提出後に控えを受理する場合、申告書控をファイリングなどして保管している会社様が多いと思います。この点、電子申告であれば、PDFファイルで申告書控(電子申告日時の記載されたもの)をダウンロードすることができるため、それをPCのフォルダ内に保存しておけば、事務所スペースも圧迫しないメリットがあります。
 
2020年に始まったコロナ禍により、リモートワークが推進されていく中で、紙面を事務所保管してしまうとどうしても出社しないといけないケースが出てしまい、不便を感じることもあると思います。世界全体のIT化・リモート化はコロナ禍を通じてより加速度的に進むことが想定されますので、電子申告・財務諸表等の電子送信を行っていない企業様は一度税理士に相談されてみるのをおすすめします。弊社においても電子申告開始サポートを行うことが可能ですので、お気軽にお問合せフォームよりお問い合わせください。

2022/3/21
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仕事の生産性

本日は税務トピックとは少し離れますが、仕事の生産性について日頃から考えていることを記載してみます。
 
私は32歳の誕生日に自分の税理士事務所を設立しましたが、それまで会社員をしており、2社経験しました。
会社員時代は無駄な残業で自分のプライベートな時間を割きたくなかったため、勤務時間中は仕事の生産性を高めて(効率よく仕事を終わらせて)、自分の時間を作ることに尽力していました。
独立すると、勤務時間も含めてすべて自分で決めて終えられるため、生産性への意識が薄れる可能性があると思い、自身の考えを整理する意味でも記載したいと思います。
 
■会社員時代に考えていた生産性のポイント
・目標設定(生産性を高めたい理由)
・生産性の定義
・優先順位で区分分け(重要度、緊急度)
・業務の種類で区分分け
 
■目標設定
まず、生産性を高めると一言で言っても何のために、どの程度生産性を高めるかという自分の中のゴールを明確にすることに気を付けていました。
会社員時代は、「来る仕事は全て捌きつつ、定時に帰る」を目標にしていました。
独立した今は、仕事量を収入に置き換えて「週XX時間勤務で、月間売上XX円を目指す」ために生産性を高めることを目標にします。これにより、今の仕事の時間と売上の割合を見れば、目標に対しての生産性の達成度が数字で分かるメリットがあります。個人的に目標設定は必ず定量的なもの(数字で明確になるもの)が良いと考えます。
 
■生産性の定義
生産性の定義は「生産性=成果÷時間」としました。
生産性を高めるために、①「決まった仕事を処理するのにかかる時間を短くする」、②「決まった時間内に処理する仕事の量を多くする」の2点を注力します。①と②は同じような内容ですが、私の中では明確に異なり、それが次の優先順位の話につながります。
 
■優先順位で区分分け(重要度、緊急度)
生産性を下げる要因として、マルチタスクの仕事の際にどの仕事から手を付けるか、1つ仕事が終わったら、次どの仕事をするか考えている時間があります。この「仕事を選んでいる時間」は何もしていないのと同じなので、極力ゼロにする必要があります。
ここがゼロにならないと①「決まった仕事を処理するのにかかる時間を短くする」は改善されても、②「決まった時間内に処理する仕事の量を多くする」の改善が不十分になるからです。
私のタスク管理は至ってシンプルで、仕事を行う順番に箇条書きにしておき、上から順番につぶしていくという方法です。タスク管理に時間をかけてしまうのも無駄なので、極力シンプルにしています。
重要なのは、この箇条書き(優先順位)の順番だと思っています。
私は仕事を①重要度と②緊急度の2つの切り口から、第1順位を「重要度:高い、緊急度:高い」、第2順位「重要度:低い、緊急度:高い」、第3順位「重要度:高い、緊急度:低い」、第4順位「重要度:低い、緊急度:低い」の順番で区分分けし、順位の高いものから箇条書きしています。そして、新しい仕事が入ってきたら、優先度と緊急度を考慮して、既存の箇条書きリストの中に入れていくという方法にしています。
すると、どんどん仕事が入ってくると、第4順位の業務に全然着手できないということもあると思いますが、それはそれで良いと思っています。重要度も優先度も低いため、ほかにやれることが無い時にやる程度で良いと思います。
 
■業務の種類で区分分け
上記のリストで第4順位が出来ないのは許容できるとしても、第3順位の仕事になかなか着手できないとなると危険かと思います。第3順位は緊急度は低いものの重要度は高いので、できれば早めにつぶしたい仕事です。
ここで、キーになってくるのが、第2順位の仕事です。緊急度は高いが、重要ではない仕事ですので、これは出来れば、「自分以外の人にやってもらいたい」と考えています。重要な仕事を他の人に任せるのは心配になってしまうこともあると思いますが、重要でない第2順位の仕事を部下や後輩に任せることで(自営業なら外注や従業員を雇うことで)、自分は第1順位→第3順位と重要な仕事だけをしていける環境を作ることが出来ます。部下が第2順位の仕事を完了すれば第4順位の仕事をしておいてもらうようにしておけば良いと思います。
 
■まとめ
以上のように生産性を高めるためには、①何のためにどの程度の生産性を求めるかを定量的に定め、②仕事の優先順位ごとに(自分を含め)誰に任せるのかを判断して、適材適所を進めていくことが重要と考えます。

2022/3/28
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