会社設立

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会社設立に関して税務署に提出しなければいけない書類リスト

先日、フリーランスの法人化のタイミングについて記載しましたが、実際に法人化すると税務署・地方自治体に提出しなければいけない書類がたくさんあります。今回は税務関連で多くの会社で提出しなければいけない書類について解説します。
 
提出が必要な主な届出書リスト
・法人設立届出書
・法人設立・開設届出書(道府県民税・事業税)
・法人設立・開設届出書(市民税)
・青色申告の承認申請書
・電子申告・納税等開始(変更等)の届出
・eLTAX 利用届出(新規)
・給与支払事務所等の開設届出書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
 
 
法人設立届出書
法人設立届出書は法人を設立後2月以内に納税地の所轄税務署長(地域の税務署)に提出することとされており、以下のURLより様式をダウンロードすることが出来ます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_2.htm
 
法人設立・開設届出書(道府県民税・事業税)、法人設立・開設届出書(市民税)
法人に課される税は、国が課す国税(法人税)のほかに、都道府県が課すもの(道府県民税、事業税)と市町村が課すもの(市町村民税)があります。従って、設立届出も税務署に提出するだけでは足りず、都道府県と市町村にも提出する必要があります。提出期限や提出先はそれぞれの自治体によって異なりますが、例として大阪府大阪市に法人設立する場合は以下の通りとなります
 
・大阪府
設立後2月以内に所轄府税事務所(大阪市の場合は中央府税事務所)に提出。様式のダウンロードは以下から可能。
https://www.pref.osaka.lg.jp/annai/menkyo/detail.php?recid=3677
 
・大阪市
設立後2月以内に船場法人市税事務所に提出。様式のダウンロードは以下から可能。
https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000006464.html
 
青色申告の承認申請書
青色申告の承認申請書は、青色申告を行う場合には、設立後3月以内(3月以内に設立事業年度終了日がある場合は、事業年度終了日前日)に納税地の所轄税務署長に提出することとされております。以下のURLより様式をダウンロードすることが出来ます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_14.htm
 
電子申告・納税等開始(変更等)の届出
電子申告・納税等開始(変更等)の届出は、国税電子申告・納税システムを用いて申告等を行おうとする場合に、納税地の所轄税務署長に提出することとされております。以下のURLより様式をダウンロードすることが出来ます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/e-tax/annai/001.htm
 
eLTAX 利用届出(新規)
設立届出の箇所でも述べましたが、法人は国税と地方税の納付が必要であるため、確定申告も国に対するもの、都道府県に対するもの、市町村に対するもので別々の申告を行うこととなります。eLTAXとは法人が行う確定申告のうち、都道府県・市町村に対する確定申告について電子申告が可能となるシステムです。また電子申告以外の届出等も電子対応が可能となります。申請は以下から行うことが可能です。
https://www.eltax.lta.go.jp/riyoutodokede/gaiyou/
ちなみに国税の電子申告システムはe-Taxであり、言葉が似ているのでご留意ください。
 
給与支払事務所等の開設届出書
給与支払事務所等の開設届出書は給与等の支払事務を行う事務所を設立した場合に提出が必要となり、法人の場合は原則提出が必要です。事務所設立から1月以内に所轄の税務署に提出する必要があります。届出書は以下からダウンロードできます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm
 
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
法人が給与を支給する場合、所得税を源泉(天引き)して、残額を従業員に支給しますが、この源泉所得税は原則として徴収日の翌月10日に納付する必要があります。ただし特例として、給与を受ける人数が10人未満の小規模法人については、源泉所得税を毎月納付ではなく、半年ずつまとめて納付とすることが出来ます。この半年納付の申請書が「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」になります。提出期限はなく、提出日の翌月支給給与から適用されることとなります。申請書は以下よりダウンロードできます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm
 
いかがでしたでしょうか。今回は法人を設立した際に提出が必要になる税務関連の書類について、解説いたしました。
ご自身で提出手続きを行う参考にしていただければ幸いです。また、弊社との税務顧問契約をして頂けるのであれば、上記の届出の代行サポートを無料で行うことも可能ですので、ご検討いただけるのであれば、お気軽にお問合せフォームよりお問い合わせいただけますと幸いです。

2022/2/21
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法人化した際の税務上の留意点(役員報酬)

前回は法人設立の際に必要になる届出書等の解説を行いましたが、今回は晴れて法人化した後の役員報酬の留意点について解説します。法人税法を理解していないと役員報酬がすべて課税されてしまう恐ろしい規定となっております。
 
法人の所得を計算する場合、売上から原価及び人件費等の経費を差し引いて課税所得を計算することとなりますが、役員報酬の払い方を誤ってしまうと、これが経費として差し引かれず、課税所得に含まれてしまいます。
 
では、実際に経費(損金)として認められる役員報酬の要件は、定期同額給与、事前確定届出給与、一定の業績連動賞与のいずれかに該当するもので、職務内容に沿って不相当に高額でないものに限られるものとされております。
 
定期同額給与とはその事業年度の各支給日における支給額が同額であり、支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与です。
例えば、毎月25日に30万円ずつ支給しているのであれば定期同額給与になりますが、毎月の支払額が25万円になったり、35万円になったりして定額にならなければ、定期同額給与に該当しないこととなります。この場合、その事業年度に支払われた全額が定期同額給与として認められないため、例えば年間の役員報酬が400万円の場合、その全額に法人税が課されるため、実効税率30%で考えると120万円もの無駄な税金を払うことになる可能性があります。従って役員に対する給与は毎月同日に定額としておくことが鉄則となります。
 
次に事前確定届出給与ですが、これは主にボーナスに対する規定かとご理解ください。役員に支給されるボーナスは基本的に損金不算入となってしまいますが、事前確定届出給与に関する届出を提出しておくことで、ボーナスを損金算入することが可能となります。
届出書は以下よりダウンロードできますが、提出期限は通常の、株主総会決議から1月以内とされております。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/5104.htm
例えば3月決算法人が6月5日に株主総会にて、役員への同年12月のボーナスを100万円と決めたのなら、100万円を12月に支給する旨の事前確定届出給与に関する届出を株主総会から1月以内の7月4日までに提出する必要があります。
 
次に一定の業績連動賞与ですが、これはフリーランスが法人化した場合などに該当するであろう同族会社の場合には適用できない要件となっているため、解説を省略いたします。
 
従って、上記をまとめると法人化した際の役員報酬は①月額給与は毎月同額(定期同額給与)にし、②賞与を支給する場合には、株主総会決議から1月以内に事前確定届出給与に関する届出を提出する必要があう2点に留意しておくことが必要です。
 
最後に役員報酬の損金算入の規定で「不相当に高額ではないもの」についてですが、ここは、税法上では明確に定義されておりません。
しかしながら、過去の裁判判決事例を参考にすると、業務執行内容に比して著しく高額な報酬ではないか、他の類似法人の役員と比較して著しく高額な報酬ではないかという点が論点になっているケースがあります。
この点、例えば社長の奥様を法人の役員にして、一定の給与を払い続けたりする場合、奥様が名義だけの役員で実際に業務執行してなかったりすると、職務内容に比して不相当に高額と言えるため、奥様に対する役員報酬は損金不算入とされることが考えられます。
ただし、フリーランスが1人だけで営む法人であれば、不相当に高額な報酬の論点はさほど気にしなくていいと考えます。
 
いかがでしたでしょうか。今回は法人化した際の役員報酬の留意点について、解説しましたが、法人税法はフリーランスが個人事業主として申告を行っていた時よりも税制が複雑になります。
法人化のタイミングで顧問税理士を契約する会社様が多いことも事実ですので、法人を運営していくのであれば確定申告書の作成等を税理士に委託されることをご検討いただければと思います。

2022/2/28
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