法人税

全法人が対応しなくてはいけない電子帳簿保存法の改正について(電子取引編)

令和3年度税制改正に伴い、電子帳簿保存法が見直されました。大幅に緩和されてはいるものの、制度自体がかなり複雑であることから、中小法人での書類の電子化については、いくばくかハードルの高さが感じられます。
また「電子取引のデータ保存」については、2024年より保存が義務付けられているので、要件を満たさない場合には、青色申告の取り消しもあり得るため、ご留意が必要です。
 
まず改正後電子帳簿保存法は以下の3つの区分に分けられます。
・国税関係帳簿のデータ保存(電子保存ができる)
・国税関係書類のスキャナ保存(電子保存ができる)
・電子取引のデータ保存(電子保存が義務付けられる)
 
■用語の意義
・国税関係帳簿:国税に関する法律の規定により備え付け及び保存をしなければならないとされている帳簿(例:仕訳帳、総勘定元帳など)
・国税関係書類:国税に関する法律の規定により備え付け及び保存をしなければならないとされている書類(例:財務諸表、契約書など)
・電子取引:取引情報の授受を電磁的方式により行う取引(例:電子契約、Web発行領収書、PDFで送られてくる領収書など)
 
ここでポイントになるのは、上の2つ「国税関係帳簿のデータ保存」と「国税関係書類のスキャナ保存」はデータ保存が認められるのに対し、3つ目の「電子取引のデータ保存」は適用しなければいけないという点です。
つまり電子取引のデータについては、2024年以降は印刷して保存(紙媒体での保存)が認められず、必ず電子データとして保存しなければならないこととされております。
保存要件を満たさなければ、青色申告の承認の取り消し対象となる可能性がある旨も発表されています。
また、単にデータ保存を行えばいいというわけではなく、保存の方法に複雑な要件があり、電子取引のデータについては、これらの保存要件をすべての法人がクリアしておかなければいけないこととなります。
 
電子取引のデータ保存の要件は以下の3つが要件となります。
・真実性要件
・見続可能性要件
・検索機能
 
■真実性要件
以下3つのうちいずれかを充足すればOK。
 ・タイムスタンプ付与(発行者または受領者)
 ・訂正削除の履歴が確認できる(又は訂正削除ができない)システムで取引データを授受・保存
 ・事務処理規定の備え付けと運用
 
■見続可能性要件
以下の2点を満たす必要がある
 ・一定スペック以上のディスプレイ・プリンタ等の出力装置の設置
 ・整然とした形式・明瞭な状態で速やかにデータ出力が可能な事
 
■検索機能
以下の3点を満たす必要がある
 ・取引等の年月日、取引金額、取引先による検索機能
 ・日付、金額に係る記録項目についての範囲指定検索機能
 ・2つ以上の記録項目を組み合わせた複合検索機能
 
いかがでしょうか?全法人が対象になる制度改正であり、2024/1/1からは電子取引のデータ保存が義務付けられています。
これらの要件を満たす文書管理システムを販売しているシステム会社などがありますので購入をご検討されるのも良いと思いますが、費用を抑えるために自社で保存する場合には、保存方法を整備しておく必要があるかと思います。
詳細は顧問税理士とご相談されることをおすすめします。もちろん弊社への相談も可能になりますので、ご興味がございましたら、お問合せフォームよりお問い合わせください。

2022/1/17
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