節税

経営セーフティ共済の戻入益金算入

個人事業主や中小企業の節税手段として用いられることも多い経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)について、戻入時の益金算入が漏れているケースがあり、注視されているため、解説します。
 
■経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)とは
自分の会社経営が順調でも、取引先の倒産などの不測の事態により売掛金等の債権が回収できず、自社の経営に影響が出ることが中小企業の場合は特に考えられます。
このような事態の際に、連鎖倒産が起きてしまうことを防ぐため、不測の事態が生じた際に事業資金を速やかに借入するための共済制度が経営セーフティ共済になります。
経営セーフティ共済では、取引先倒産の際に、掛金の10倍(最大8000万円)を無担保で借入することが可能です。
掛金は月々の支払で、40か月以上納めていれば、解約時に全額返ってくるため、実際に取引先が倒産しないままリタイアする際は、解約して全額受け取れば良いので、損しない制度になっています(40か月未満の場合は、掛金全額が戻ってこない場合があります)。
 
詳細は以下よりご確認いただけます。
https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/index.html
 
■経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に対する税金の取り扱い
なお、税金計算の基本となる所得計算上は掛金を払ったときは費用計上できて、解約金を受け取ったときは収益計上することとなります。
法人で加入した場合、法人で月々掛金を払うことで節税が可能です。解約時は社長の退職に合わせて、解約することで、解約金が一度収益(益金)計上されますが、同額を社長への退職金として費用(損金)計上しておけば、プラスマイナスゼロで法人の所得に影響せず、社長は退職所得として有利に解約金を受け取れます。このため、節税しながら自社の不測の事態に備えられるとして、多くの企業で使われています。
 
ただし、損金算入するためには、確定申告時に明細書の添付が必要であることに留意が必要です。
また、個人事業主の必要経費算入のためにも明細書添付が必要ですが、従前は明細書の指定フォーマットが無く、申告時に不十分な明細書で必要経費に算入していたケースも散見されたことから、2021/12期より、指定フォーマットが採用されている。
 
■2021/12期以降は個人事業主は注意が必要
法人については、従前より明細書フォーマットがあったため、同様に申告時にフォーマットに従い、明細添付すれば良いこととなる。
一方で、個人事業主については従前は指定フォーマットが無かったが、2021/12期より指定フォーマットにて掛金明細を報告する必要があり、この点が漏れると、必要経費算入も認められない可能性があるため、留意が必要です。

2022/5/9
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