節税

医療費控除特例(セルフメディケーション税制)

個人所得税の計算において、一定の医療費については、所得控除を適用することができ、所得税を減額(節税)することが出来ます。
一般に、医療費控除は医療費が年間10万円を超えない場合には適用できないことと知られておりますが、近年の改正により、年間1万2千円を超える場合など、10万円未満でも医療費控除が適用できる場合があります。
 
■医療費控除(原則規定)
1年間で自分自身及び同生計の親族のために支払う医療費が年間10万円を超える場合(年間所得が200万未満の場合には所得×5%の場合)には、年間で支払った医療費の合計額-10万円(又は支払医療費―所得×5%)を所得控除できることとされております(上限年間200万円)(所得税法第73条)。
 
従って、年間所得が100万円の方であれば年間で5万円(100万円×5%)を超えれば、医療費控除の適用があり、原則規定の中でも、医療費が10万円未満で適用できるケースがあることにご留意ください。
 
■医療費控除(特例:セルフメディケーション税制)
セルフメディケーション税制は、特定の医薬品購入に関し、原則規定では、10万円であった下限値を1万2千円として、医療費控除規定を受けられる特例規定です。
年間所得が200万円以上であり、年間の医療費が10万円未満である場合は原則規定の医療費控除は適用できませんが、セルフメディケーション税制の適用ができる可能性があります。セルフメディケーション税制の要件として「健康のための一定の取組」を行っている必要がありますが、インフルエンザ予防接種や健康診断を受けていれば満たしますので多くの方が満たせることとなります。
注意点として、医療費控除は原則規定か特例(セルフメディケーション税制)の選択適用となるため、併用することはできません。医療費控除の上限額は原則規定の方がかなり大きいため、医療費が年間で18.8万円以上となるような方は原則規定の方が有利です。
①医療費が10万円未満:セルフメディケーション税制のみ可
②医療費が10万円以上18万8千円未満:原則規定も適用可だがセルフメディケーション税制が有利
③医療費が18万8千円以上:原則規定が有利
 
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品及び制度の詳細については、以下のURLをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html#hinmoku
 
■まとめ
・医療費が10万円未満でも医療費控除の適用ができるケースがある
・セルフメディケーション税制と医療費控除(原則規定)の併用は不可
・医療費が多額の方は原則規定の医療費控除が有利
 
いかがでしたでしょうか。セルフメディケーション税制は主に年間医療費が少額の方に対する制度ですが、年間で数万円程度は支払う税金が変わってくるので、医療費控除を適用していない方はご検討されることをおすすめします。

2022/4/11
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