フリーランス(個人事業主)

フリーランス(個人事業主)が支払う税金と節税について

働き方の多様化により、多くの企業で副業が解禁されたことにより、副業を開始する方が増加しており、また企業に属さない働き方(フリーランス)を選択する方も増加しております。
企業で働いていた時には確定申告は行っていなかった方も多いかと思いますが、フリーランス(個人事業主)として働くのであれば、確定申告等も自身で行う必要があり、3月に慌てて準備されている方も多いのではと思います。本日は、フリーランスが支払う税金について解説したいと思います。
 
フリーランスが支払う主な税金
①   所得税
②   個人住民税
③   個人事業税
④   消費税(課税事業者の場合)
 
上記に4つ記載があるため、確定申告を4回行う必要があるのかという疑問を持たれる方もいるかもしれませんが、②個人住民税と③個人事業税については、確定申告は不要です。①所得税の確定申告を行うことで、都道府県・市町村が税額を計算してくれます。
従って、確定申告が必要なのは①所得税と④消費税になります。
 
確定申告の時期(個人事業主の場合)
所得税:2月16日から3月15日の間
消費税: 3月31日まで(※)
※消費税課税期間の短縮を行っていない場合。
 
消費税は受取消費税額と支払税額の差額を申告納付するため、その他の税金とは計算の考え方が異なります。消費税は儲かっていても儲かっていなくても、預かっていた税額を申告納付するだけなので、節税という考え方はあまりありませんが、利益率の高い事業であれば、簡易課税制度を適用することにより、節税が可能な場合があります。気になる方は税理士にお問い合わせされてみるのがいいと思います。弊社にて無料でご相談を行うことも可能ですので、必要であればお問合せフォームよりお問い合わせください。
 
節税について重要になるのは課税標準を個人の所得(収入―必要経費)としている①~③の税金です。これらは、簡単に言えば儲かれば儲かるほど税金が増えることとなりますが、いくつかの節税テクニックにより、個人の所得を少なくすることにより、所得税・住民税・事業税の節税が可能となります。なお、厳密には異なりますが、住民税も事業税も所得税法上の所得を参照しているので、所得税申告の際に節税の取り組みを行えば、住民税・事業税も併せて節税されることとなります。
 
では、所得税の節税について、細かく見ていきたいと思います。
まず所得税の税額は、以下の算式で計算されます。
 
(収入-必要経費-所得控除)×税率-税額控除=納付すべき所得税額
 
従って、①必要経費、②所得控除、③税額控除の3つを大きくすることが出来れば所得税の節税ができることとなります。
税額控除については、マイホームを購入した場合の「住宅借入金等特別控除」などがありますが、手軽に行えるものは少ないため、①必要経費と②所得控除に絞って以下で解説したいと思います。
 
まず①必要経費については、経費を増やすために余分にお金を使ってしまうと意味がないため、家事按分・少額減価償却資産特例・経営セーフティ共済・小規模企業共済を上手く活用することが考えられます。
・家事按分
 個人事業主の場合、自宅兼事務所の家賃・光熱費や、携帯電話料金など、事業用とプライベートで共用しているものの費用については、事業に使用している割合を必要経費に算入することが出来ます(例:50㎡の自宅のうち10㎡部分が事務所の場合、家賃の20%を必要経費とできる等)。家事按分については、税務署から問い合わせをされた際に合理的に説明できるように事務所部分を明確に区別しておくなどの整理をしておくのが良いと考えます。
・少額減価償却資産特例
 例えばPCやプリンタなどの固定資産は数年にわたり費用化(減価償却)を行う必要があるため、PC等を購入した年度に購入代金全額を必要経費とすることは原則としてできません。しかしながら青色申告を行っている場合には、30万円未満の固定資産については、購入した年度に全額費用処理することが出来ます(上限300万円)。従い、例えば、年度末に20万円の新PCを5個購入すれば、100万円の費用計上が可能となります。不要なものを購入しては意味がないので、あくまで必要なものを購入するのが良いと考えます。
・経営セーフティ共済、小規模企業共済
 経営セーフティ共済と小規模企業共済はいずれも独立行政法人 中小企業基盤整備機構による共済制度です。それぞれの制度内容は異なりますが、共通しているのは、掛金を必要経費とできる点です。年によって掛金を変更することが可能なので、所得が大きくなる年度には掛金を増額して節税を行うことが出来ます。制度趣旨の詳細は以下から参照できます。
https://www.smrj.go.jp/kyosai/index.html
 
これらの制度を上手く活用しながら、必要経費を増加させることが可能となります。
 
次に②所得控除については、いくつか種類がありますが、その中でも特に重要な青色申告特別控除、ふるさと納税、iDeCo(個人型確定拠出年金)について解説します。
 
・青色申告特別控除
フリーランスで青色申告の承認申請を受けていなければ必ず受けるべきと言っても過言ではないかと思います。青色申告の承認を受けることで税メリットがたくさんあるので、まだ承認を受けていない場合は承認を行うのが良いと考えます。
青色申告の承認を受けると青色申告特別控除が10万・55万・65万のいずれかで受けることが出来ます。65万の控除を受けるためにはいくつか要件がありますが、複式簿記で記帳(会計ソフトを使用すれば簡単です)し、所得税申告をe-Taxによる電子申告をすることで適用が可能となります(決算書の添付が必要)。
 
青色申告承認申請
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
 
・ふるさと納税
ご存知の方も多いかと思いますが、ふるさと納税(寄附金控除)を行うことで所得控除を受けることが出来ます。ふるさと納税は住民税による節税分も含めれば、実質自己負担2,000円で、返礼品を受け取ることが出来るため、フリーランス・会社員問わずおすすめできるものかと考えます。所得に対しての寄附金額が大きくなりすぎると、自己負担額が2,000円より増えてしまうため、ご自身の所得を考慮して寄附金額を決定するのが良いと考えます。
 
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
以前、老後2,000万円問題が話題になりましたが、iDeCoは公的年金では不足するであろう老後資金をご自身で積み立てる制度です。iDeCoの優秀な点は、積立時の掛金が所得控除でき、かつ、リタイア後に運用額を受取る際にも非課税で受け取ることが出来るため、iDeCoを行うことで数百万単位の節税が見込まれる点です。
ただし、受取が行えるのは、原則60歳以降となるため、現役時代は手元に残るキャッシュが減ってしまう点は留意が必要です。
税メリットが非常に大きいので個人的にはかなりおすすめしたい節税方法となります。
 
所得控除については、上記のほか、生命保険料控除などがありますが、過度な節税は、かえって手元に残る現金を減らしかねないので、一度税理士に相談してみるのがいいかと考えます。
 
弊社では青色申告承認申請書の提出サポート、ふるさと納税限度額の試算等のご相談が可能になりますので、必要であればお気軽にお問い合わせください。
 
次回はフリーランスの法人化について解説したいと思います

2022/2/7
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